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 読書案内


英語学習者が読んで実力がつく英書や、参考書を紹介する他、私が読んで面白かった本も幅広く紹介します。

よい文体で書かれた原書を繰り返し読むことは、外国語学習の基本です。いわゆるハウツー本ばかり次々と買う人がいますが、これは本人が勉強しているつもりになるだけで、実力はつきません。基礎文法を勉強したら、できるだけ早い時期から英語の本を読みましょう。本物の英語に触れることが大切なのです。

ここでとりあげた本は全て私が買って読んだ本で、★の数による5段階評価は、あくまで私の主観的な評価です。

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 [2.27.2007更新]


  OXFORD BOOKWORMS LIBRARY
 レベル:英検4級〜2級  おすすめ度:★★★★★  
(日本人の書いたくだらない参考書を読むくらいなら、最初から本物の英語を読もう)


洋書売場に行くと、名作をやさしい英語で書き直したもの(リトールドもの)が置いてあります。これは、いきなり原作に挑むのが難しい初心者に最適の読書材料といえます。

一例として、OXFORD BOOKWORMS LIBRARY を見てみましょう。

このシリーズでは、読者のレベル別に Stage1Stage6 の6段階に分かれており、Stageは、400語、Stage2は、700語、Stage3は、1000語、Stage4は、1400語、Stage5は、1800語、Stageは、2500語を使って書かれています。Stage1〜2なら、中学生でも挑戦できますね

では、論より証拠、Mark Twainの傑作 The Adventure of Huckleberrry Finn の原作と、これをやさしく書き直したもの(OXFORD BOOKWORMS LIBRARY Stage2)を読み比べてみましょう。まずは、原作第1章の書き出しです。

<原作> 
   You don't know about me, without you have read a book by the name of The Adventure of Tom Sawyer, but that ain't no matter. That book was made by Mr Mark Twain, and he told the truth, mainly. There was things which he stretched, but mainly he told the truth. That is nothing. I never seen anybody but lied, one time or another, without it was Aunt Polly, or the widow, or maybe Mary. Aunt Polly--Tom's Aunt Polly, she is--and Mary, and the Widow Douglas, is all told about in that book--which is mostly a true book; with some stretchers, as I said before.
 
 Now the way that the book winds up, is this: Tom and me found the money that the robbers hid in the cave, and it made us rich. We got six thousand dollars apiece--all gold. 
 

訳例:
    これを読む人はぼくのことは知らないだろうね、「トムソーヤの冒険」
って名前の本を読んだのでなければ。でもそんなことはどうでもいいんだ。その本はマーク・トェインさんが書いた本で、彼は本当のことを書いているよ、ほとんどね。大げさに書いたところもあるけど、書いていることのほとんどは、本当のことさ。そんなことは問題じゃない。ぼくは嘘をつかない人間なんて見たことないからね。誰だって一度や二度は嘘をつくものさ。ただ、ポリーおばさん、例の未亡人、それにたぶんメアリーは別だよ。ポリーおばさんは、トムのおばさんだけどさ、それにメアリーと未亡人のダグラスさんは、さっきの本の中にみんな書かれていて、ほとんど正しいことが書いてあるね。前に言った
ように、大げさなところはあるけどね。
  その本の筋書きはこんなふうさ。トムとぼくは、泥棒達が洞穴に隠した金を見つけて、それでぼくたちは金持ちになった。それぞれ6千ドルずつ手にしたんだ。全部金貨でね。


上の部分は、
OXFORD BOOKWORMS LIBRARY では次のように書かれています。

OXFORD BOOKWORMS LIBRARY Stage2>

You don't know about me if you haven't read a book called The Adventure of Tom Sawyer. Mr Mark Twain wrote the book and most of it is true. In that book robbers stole some money and hid it in a very secret place in the woods. But Tom Sawyer and I found it, and after that we were rich. We got six thousand dollars each--all gold.

訳例:
これを読む人はぼくのことは知らないだろうね、「トムソーヤの冒険」
という本を読んだことがなければ。マーク・トェインさんが、その本を書いたんだけど、そのほとんどは本当のことさ。本に出てくる話だけど、泥棒がお金を盗んで、森の中の人に見つからない場所にそれを隠したんだ。でもそれをトム・ソーヤとぼくが見つけて、それからぼくたちは金持ちになった。それぞれ6千ドルずつ手にしたんだ。全部金貨でね。

ほとんど筋書きだけ!という感じですが、これなら英語初心者の方でも読めますね。

さあ、本屋さんに行って、自分のレベルに合った1冊を探してください。迷ったときは、少しやさしめの本を選ぶのがコツです。挫折したら元も子もありませんからね。  


 



 THE ESSENTIAL 55 [RON CLARK]
 レベル:英検2級〜準1級  おすすめ度:★★★★★  
(平易で読みやすい英文。子育てに悩む親、学級崩壊に悩む教師は、ぜひ一読を)

Essential 55: An Award-Winning Teacher's Rules for Discovering the Successful Student in Every Child 

この本の筆者は、アメリカの小学校教諭です。子供の教育で徹底させたいポイントを
55の項目にまとめ、実例も含めて、時にはユーモラスに説明しています。優れた先生が書いた文章ですから、会話にも作文にも使える、平易でくせのない文章です。

本書67ページから、引用します。

RULE 19

  When I assign homework, there is to be no moaning or complaining.

This will result in a doubled assignment.

訳例:
「ルール19 私が出す宿題に、不平不満を言ってはいけません。そう
いう人には、宿題を2倍出します。」

以上が見出し部分です。はっきりビシっと明解ですね。文法的直訳は「私が宿題を出すとき、不平不満があってはならない。これは、2倍の宿題という結果に終わる」となります。there is to be〜の部分は、there is〜に、不定詞で勉強するbe to−(−すべき)を入れたものですresult in 〜(〜という結果になる)も頻出表現ですね。では、続いて本文を読んでみます。

 Think about the place where you work.... Now think about the people you work with. How many of them would you say are positive people? How many are negative? Which would you rather spend time talking to and working with? I think the answer is obvious, but still, so many people carry negative attitudes and seem to complain about anything that they are asked to do or that demands them to put forth effort.

訳例:
「きみたちが勉強する場所について考えてみよう...一緒に勉強する
人たちのことを考えてみるんだ。その中で積極的な人は何人いると思う?消極的な人は何人いるかな? 話したり一緒に勉強したりするなら、どちらの人としたい?答ははっきりしているけど、それでも、すごく多くの人が消極的な態度をとっていて、人から頼まれたことや努力しなければならないことについて文句を言っているようなんだ」 

いかがでしょう?この部分を読んでみて、「難しい」ということであれば、上に紹介したリトールド版のようなやさしい本を選んだほうがいいですね。


 



 例解 現代英語冠詞辞典
 レベル:英検2級〜準1級  おすすめ度:★★★★★  
(冠詞に関する最高の参考書)


日本人が英語を学ぶ上で、いちばん困るのが冠詞です。中学では、「数えられる名詞の単数形にはaをつけるが、数えられない名詞にはつかない」とか、前に出てきた名詞にはtheをつけるなどと習いますが、この程度の理解では、自信を持って冠詞を使うことはできません。特に困るのが、同じ名詞なのに、aがついているときと、ついていないときがあることです。例えば、fare(運賃)は、辞書では加算名詞とされているのに、Children of twelve up must pay full fare. (12歳以上の子供は全額料金を払わなければならない)のfareにはaがつきません。また、experience(経験)は、辞書を見ると、不加算名詞が中心で、1つ1つの具体的な経験は加算名詞扱いなのですが、こうした違いもよくわかりません。このように、冠詞に関しては、辞書をよく読んでも、aのあるなしに関して決め手になるような情報はなかなか得られないのが現状です。

そんな日本人の冠詞学習にとって救世主となるのが、「
例解 現代英語冠詞辞典」(樋口昌幸著、マイケル・ゴーマン協力 大修館書店) です。この本のすばらしいところは、徹底した用例主義を貫いているところです。主な名詞について、冠詞がつく場合とつかない場合を並べてのせ、その違いがよくわかるようにしてあります。
さらにこの本は、場当たり的、感覚的な説明を排し、論理的かつ体系的に書いてありますから、この本の理論体系を頭に入れ、次に自分が英語の本を読むときに、この冠詞は「冠詞辞典のあの理論だな!」と頭に思い浮かぶようにすれば、冠詞の悩みの多くが消滅するでしょう。

ただ、中身がすごく濃いのと、510ページという分量のために、初心者の方が読むにはなかなか大変です。そこで、この「冠詞辞典」を私自身がよく勉強し、初心者の方にもよくわかってもらえるように書いているのが、このホームページの「冠詞ノート」なのです。




 The Summing Up
 レベル:英検準1級〜1級  おすすめ度:★★★  
(私の愛読書です。人にはあまり勧めたくないので★3つです)

このホームページの「著者雑談」にも書きましたが、かつての私は日本語でも英語でも小説を読まない人間でした。そんな私に小説の面白さを教えてくれたのが、イギリスの劇作家・小説家のサマセット・モーム(W. Somerset Maugham)です。

 2004年の夏、書店でペーパーバックの棚を見ていたところ、ふと1冊の本が目に入りました。Maughamの The Summing Up という本です。私はモームの名を知っているくらいで、彼の本を読んだことはもちろんなく、今思い出しても、どうしてその時、この本を手に取ったのかわからないのですが、とにかく手にとって、パラっとページをめくったところ、7ページに、次の英文を見つけたのです。

 I have always wondered at the passion many people have to meet the celebrated.

 この英文は、受験用参考書に時々載っている文で、見覚えがありました。そして、「へえー、この英文は、モームの書いた文だったのか。では、買ってみよう」と思い、買って読んだところ、すぐにモーム先生にハマってしまったわけです。そして、モーム先生は、どことなく似ているなと感じるようになりました。それは、冷徹に人を観察するのが好きだという点です。また、モーム先生が亡くなった年に私が生まれているのも何かの奇縁だと思いました。The Summing Upでモーム先生に熱中した私は、その後も Of Human Bondage (人間の絆)や、Cakes and Ale (お菓子と麦酒)を読み、名文をノートに写し取っては、感嘆のため息をつく毎日を過ごしました。

それはさておき、 ここで、先の英文が載っていたパラグラフを引用してみます。

 I have always wondered at the passion many people have to meet the celebrated. The prestige you acquire by being able to tell your friends that you know famous men proves only that you are yourself of small account. The celebrated develop a technique to deal with the persons they come across. They show the world a mask, often an impressive one, but take care to conceal their real selves. They play the part that is expected from them, and with practice learn to play it very well, but you are stupid if you think that this public performance of theirs corresponds with the man within.

<私訳>
多くの人は著名人に会いたいという情熱を持っているが、私はこれを常々信じられない思いで見てきた。著名人と面識があるのだと友人に自慢でき、すごいと言われたところで、それは、自分自身が取るに足りない人間であることを証明するに過ぎない。著名人は、会う人、会う人を扱う技術に長けている。彼らは、世間には仮面を、それも多くの場合、感銘を与えるような仮面を見せておいて、本当の自分は用心深く隠しているのだ。彼らは自分に期待される役割を演じ、修練によって、その役割を見事に演じられるようになるのだが、こうした公の場での演技を、その人の内面と同一視するのは愚かである。

政治家や芸能人の正体をわかりやすく述べていますね。かつて小泉さんの遊説先で「じゅんちゃーん!」と黄色い声をあげていたオバサマ方に読ませたい一節であります。(笑)   


 


 日本人の英文法完全治療クリニック [T.D.ミントン]
 レベル:英検2級〜準1級  おすすめ度:★★★★  
(英和辞典や日本人が書いた英文法書ではわからないことがたくさん書いてあります)


日本人学習者によくある間違いを熟知した著者による英文法・語法の盲点集。

著者のミントン(Minton)先生は、在日歴25年以上になる先生で、現在は日本医科大学の准教授をなさっています。私は昔、山口俊治先生の「英文法の実況中継」「全解英語構文」を読んで、すっかり山口先生のファンになったのですが、その頃、山口先生がミントン先生と一緒に書かれた「基本からやってみるか英会話」という本を読んだのが、私がミントン先生を知ったきっかけです。

その後、ミントン先生は、「ここがおかしい 日本人の英文法」という本を3冊シリーズで出されましたが、これは英文法全般にわたって、学校で習わなかった文法のポイントをわかりやすく解説された名著でした。

今回の
日本人の英文法 完全治療クリニック で、特に勉強になったのは、enoughの用法についての説明でした。ジーニアス英和辞典の記述の間違いを明快に解説してあります。



 

 日本人の行動文法 

[2.16.2008更新]



経済学者の竹内靖雄氏が書かれた傑作です。日本人の行動原理を、文法書の形式でわかりやすくまとめてあります。日本人の行動について外国人から質問された人は、この本で学んだことを説明してあげれば、すぐにわかってもらえるでしょうし、日本人から見ても変と思われるような日本人の行動にもそれなりの理由があることがわかります。

私が読みながら、興奮気味に下線を引いた箇所がたくさんあるのですが、ここでは1箇所紹介しておきます。若者のボランティアに関して、筆者は次のように述べています。

(引用開始)
「新人類」世代は、親子、夫婦などの抜き差しならない関係を維持することには苦痛を感じる反面、自分が「無限責任」をもたなくてもよい不特定多数の他人を相手に奉仕活動をすることは苦にしない。病気の老親の面倒を見ることよりも、遠いアフリカの難民を救済するために働くことを有意義だと考えるのである。
(引用終わり)

以前、福岡でユニバーシアード大会が行われたときに、私は語学ボランティアをしましたが、そのとき、各地でイベントがあるたびにボランティアとして参加する「ボランティアおたく」がいることを知りました。彼らは、定職について所得税を納めることよりも、そのとき、そのときで、「ああ、オレはいいことをしてる〜」という感情にひたりたかったのでしょうね。

本書は、日本人の行動原理についての教科書であり、読者諸氏が自分の経験や観察をこの本と照らし合わせることによってますます日本人に対する理解が深まることでしょう。ただ、残念なことに、単行本(東洋経済新報社1995)は絶版であり、その後出た文庫本(PHP文庫2000)も増刷されていないようです。これほどの名著が、なんとももったいないことです。この本を読んだ日本人の中には、あからさまに正体をばらされたようで嫌な気分になった人がいたのでしょうね。



 ソクラテスとカーネギー

 [12.25.2007更新]



今年の1学期、ある予備校で「読書会」を行いました。何冊かの本を私が選んで、2週間に1回、生徒諸君と一緒に本を読むという会です。その中の1冊に「ソクラテスの弁明」がありました。予備校生の中には、偉そうに知ったかぶりをする者が多くいますので、ソクラテスの言う「無知の知」を自覚してもらおうと思ったのです。

この本は高校時代に読んだことがありましたが、覚えていたのは「無知の知」という言葉と、悪法に従って死刑を受け入れるソクラテスの態度でした。しかし、今回改めて読み返してみると、「ソクラテスはバカじゃないのか」と思うばかりでした。

「ソクラテスの弁明」は、アテネの人々の恨みを買ったソクラテスが訴えられて有罪判決を受け、死刑になるまでのいきさつを、弟子のプラトンが書いた本です。問題は、ソクラテスがなぜ恨みを買ったかという点です。岩波文庫「ソクラテスの弁明」には、次のように書いてあります。

そこでその人を充分研究したとき---その名前をいうことは無用であるが、アテナイ人諸君、私が吟味している際に次の如き経験をしたのは、政治家の一人であった---彼と対談中に私は、なるほどこの人は多くの人々には賢者と見え、なかんずく彼自身はそう思い込んでいるが、しかしその実彼はそうではないという印象を受けた。それから私は、彼は自ら賢者だと信じているけれどもその実そうではないということを、彼に説明しようと努めた。その結果私は彼ならびに同席者の多数から憎悪を受けることとなったのである。しかし私自身はそこを立去りながら独りこう考えた。とにかく俺の方があの男よりは賢明である、なぜといえば、私達は二人とも、善についても美についても何も知っていまいと思われるが、しかし、彼は何も知らないのに、何かを知っていると信じており、これに反して私は、何も知りはしないが、知っているとも思っていないからである。されば私は、少くとも自ら知らぬことを知っているとは思っていないかぎりにおいて、あの男よりも智慧の上で少しばかり優っているらしく思われる。それから私は、前者以上に賢明の称あるもう一人の人をたずねたが、まったく同様の結論を得た。かくて私はこの人からも他の多くの人達からも憎悪せらるるに至ったのである。

(岩波文庫「ソクラテスの弁明」プラトン著 久保勉訳 24〜25ページより引用)

  
これでは恨みを買って当然ですね。どこの世界に自分が無知であることを自覚したがる人間がいるでしょうか。予備校等で、質問に来た生徒の知らないところをたくさん指摘すると、たいへん嫌がられます。人から「お前はバカだ。しかもバカであるという自覚が足りない」と言われて、「なるほど、確かに私はバカであります。私の無知を教えてくださってありがとうございます」と感謝する人はいませんね。

「ソクラテスの弁明」を読んでしばらくして、アメリカの自己啓発本の古典ともいうべき、How to Win Friends & Influence People (Dake Carnegie 著)を読みました。そして、カーネギーは、ソクラテスより何倍も偉いと思いました。上記の本よりいくつか引用します。

Criticism is futile because it puts a person on the defensive and usually makes him strive to justify himself.

批判は無駄である。人は批判されると自分を守ろうとして、たいてい自己正当化に走るからである。

(How to Win Friends & Influence People  5ページ)

You can't win an argument.  You can't because if you lose it, you lose it; and if you win it, you lose it.  Why?  Well, suppose you triumph over the other man and shoot his argument full of holes and prove that he is non compos mentis.  Then what?  You will feel fine.  But what about him?  You have made him feel inferior.  You have hurt his pride.  He will resent your triumph.  And--

A man convinced against his will
Is of the same opinion still.

(How to Win Friends & Influence People  117ページ)

議論に勝つことはできない。議論に負ければ、負けだし、議論に勝ったとしても、負けだからだ。相手を議論で負かし、相手の主張が穴だらけで相手が心神喪失状態にあると証明したとして、それで何になるのか?勝った方は気分がいい。しかし相手はどうか?劣等感を抱き、プライドが傷つけられるのだ。勝者に対して強い怒りを覚えるに違いない。
さらに、

自分の意思に反して説得させられた者は、
自分の元の意見を依然として持っている。

The only way to get the best of an argument is to avoid it.

(How to Win Friends & Influence People  122ページ)

議論に勝つ唯一の方法は、議論を避けることだ。

人間は、機械や数式ではありません。感情の塊です。論理的に正しいかどうかより、相手を気持ちよくさせてあげることが大切なのです。ソクラテス先生やプラトン先生には悪いですが、「ソクラテスの弁明」は、融通の利かない石頭男の失敗談として読んでみるといいと思います。


 


 米原万里の「愛の法則」

[2.5.2008更新]


著名なロシア語通訳で、一昨年亡くなられた米原万里さんの本です。書店の新書コーナーで、偶然目にとまって買いました。高校などでの公演をもとにした本ですのでたいへん読みやすいです。書名は「愛の法則」ですが、内容の大半は、国際化、通訳、翻訳にまつわる話です。

 筆者は、フランス語、イタリア語、ドイツ語、中国語、韓国語など、いろいろな言語の同時通訳者には面白い人が多いのに、英語の同時通訳者は批判精神と複眼思考が弱くてつまらない、そして、その大きな理由として、英語しか学ばない人は、英語を絶対視してしまうからだと述べています。

 英語を学んでいる人の中に、英語かぶれといいましょうか、英語は論理的な言語だから、日本語より英語を使ったほうがいいとか、英語は文法が非常に簡単だから、世界に広まったのだ...などと、やたら英語を贔屓する人がおります。しかし、フランス語を少しでも勉強すればわかることですが、英語は、無意味と思えるほど複雑怪奇な部分を多く持っています。いわゆる時制が非常にめんどうです。フランス語には進行形がありません。進行形なんてなくても何の問題もないのです。また、英語はやたらと語彙数が多いため、英文を書くときには類義語を使って書き換えなければなりません。これははっきり言って無駄です。フランス語は英語より語彙数が少ないため、そんな無駄なことに頭を使う必要がありません。また、冠詞については、フランス語のシステムのほうが包括的で優れています。かつて、シラク大統領が、EUの会議でフランス代表が英語で演説したところ、なぜフランス語を使わないのかと言ったことがありましたが、「あんな穴だらけの冠詞システムを採用している英語なんか、話す気にもなれん」と思ったフランス人がいてもおかしくありません。

 英語の特徴は、他のヨーロッパの言語を学ぶことによって、初めて明らかになります。日本語と英語をいくら比べてみても、両者はあまりに違いすぎるので、英語の特徴がわからないのです。英語学習で壁にぶつかった人は、フランス語でもドイツ語でもスペイン語でもいいですから、何か勉強してみてはいかがでしょうか?


 


 Tuesdays With Morrie [Mitch Albom]
 レベル:英検2級〜準1級  おすすめ度:★★★★  
(英語の小説をこれから読もうという方に最適)


アメリカの作家、Mitch Albom氏の心温まる小説。大ベストセラーになり映画化されました。若い人は、人生の指南本として読むのもいいし、中年以降の方は、この本を読んで過ぎ去りし学生時代をなつかしむのもよいでしょう。英語は読みやすく難しい語も使われていないので、高3で英語が得意な人ならすぐに読めるでしょう。英語の小説をこれから読もうという方におすすめします。

筆者の小説には、他に the five people you meet in heaven や、for one more day などがあります。前者は、Tuesdays With Morrieよりも少し英語が難しく、後者はほぼ同じレベルです。


 

 American Pie [Kay Hetherly] 
 レベル:英検準2級〜2級 おすすめ度:★★★★★
(模範的英文で書かれており、この本の英文を暗記すれば実力向上間違いなし)


昔NHKラジオの英語番組に出ていたケイ・ヘザリさんが、日本での生活の印象を語ったエッセー集が、 American Pie―Slice of Life Essays on America and Japan です。手帳より少し大きいくらいの大きさの本で、4ページくらいのエッセーが20編収められています。

ケイさんは、たいへんな読書家で、日本の大学ではアメリカ文学を教えていた方ですので、その英文は「やさしい英語でこういう深いことが言えるのか!」というよいお手本です。英語の学力を大いに伸ばしたい方は、この本の英文をそのまま暗記してみるとよいでしょう。高校の教科書に、この本をそのまま使えばよいのにと思います。ご本人が吹き込んだCDもあります。これも暗記学習のために大いにおすすめします。

英語がとても良いため、そして適度な分量のために、この本の英文が時々大学入試問題に出ているのを見かけます。(私の地元、福岡にある某私立高校の問題にも出たことがあります)

本書の続編として、Kitchen Table Talk, Tokyo Wonderland がありますので、American Pieを読み終わったら後に読まれるといいでしょう。 
  
現在、ケイさんは、アメリカに戻られたようですが、この本は日本人の英語力向上にこれからも大いに寄与する本だと思います。



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