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 冠詞ノート


「モモクリ3年、前置詞8年、おまけに冠詞は15年」これは、私が作った格言です。日本人が英語を熱心に勉強して、前置詞にあまり困らなくなるには8年かかり、冠詞が違和感なく使えるようになるには15年かかるという意味です。実際、初心者の方からの質問で一番多いのが「冠詞」についての質問ですし、私自身もわからないところがたくさんあります。本コーナー「冠詞ノート」では、そんな日本人の悩みを少しでも解消できるように、私自身が調べたり勉強したことをわかりやすくお話していきたいと思います。

1)りんごの話 2)レモンの話 3)家具の話  4)言語の話 5)ガラスの話 6)野球の話 7)忠告の話 8)市長の話 9)バスの話 10)ベッドの話 11)土地の話 12)一部の話 13)距離の話 14)年齢の話 15)温度の話 

*初めて読む方は、1)から順にお読みください。

本稿は、以下の文献を参考に記述しています。この本は、冠詞の用法に関して最も体系的に書かれた本の一つであるといえます。

例解「現代英語冠詞辞典」(樋口昌幸著、マイケル・ゴーマン協力 大修館書店)

 [1.8.2008更新]






 1)りんごの話

名詞にaがついたりつかなかったりするのはどうしてか?りんごを題材に、話をすすめていきましょう。

1) Eve plucked an apple and offered it to Adam.

2) Is there apple in this salad?

訳:1)「イブはりんごをもいでアダムに与えた」
  2)「このサラダにりんごは入っていますか?」

1)のappleはanがついていますが、2)のappleにはついていません。この違いはどこから生じるのでしょうか? 実は、aが使われるかどうかの第一の決め手は、「はっきりした形があるかどうか?」にあるのです。1)のりんごは、イブがアダムに与えた1個のりんごです。小学生にクレヨンを渡して「りんごの絵を書いてよ」と頼んだら書いてくれるような、りんごです。一方、2)のりんごは、切り刻まれたりんご(りんごを丸ごと1個をそのままサラダに入れる人はいない)ですから、りんご固有の形は失われているわけです。

3) I bought a chicken.

4) I bought chicken.

3)と4)の違いもわかりますね。3)は「固有の形を持ったにわとり」ですから、要するに、にわとり丸ごと1羽、ないしは、にわとりの丸焼きで全体の形をとどめているものを買ったのです。これに対して4)では、丸ごとではない鶏肉を買ったことになります。

では、ここで質問です。「ジムはキャベツを食べるのが好きではなさそうだ」を英訳した場合、「キャベツ」は、a cabbage でしょうか、それとも cabbageでしょうか? 

キャベツを食べるときのことを考えてみましょう。私達がふつう食べるキャベツは、トンカツに添えられた千切りのキャベツや、ロールキャベツなどの料理であって、「キャベツ固有の形を保ったまるごと一個」ではないはずです。よって、正解は、Jim doesn't seem to like eating cabbage. となります。

ではもう1問。「スープに玉ねぎを加えて」の「玉ねぎ」はどうでしょう?
Add an onion to the soup. と、Add onion to the soup. の違いは明確ですね。an onionだと「1個の玉ねぎ丸ごと」、onionだと「切ったり、すりおろしたりした玉ねぎ」を加えることになります。Add onion... の「玉ねぎ」は、もはや1個の玉ねぎではなく、単なるスープの材料になっていますね。

5) These tools are made out of stone.

6) Jim threw a stone into a pond.

訳:5)「これらの道具は石で作られている」
  6)「ジムは池に石を投げた」

5)のstoneにaがついていないのは、ここでのstoneは道具の「素材」としての石だからです。スープに加えられたすりおろし玉ねぎと同じ扱いなのですね。これに対して 6)のstoneは、はっきり1個の石です。小学生に、「池に石を投げるジムの絵を書いてね」と頼めば、はっきり1個の石を描いてくれるでしょう。

以上から、果物、野菜、肉、そして石などの場合、まるごとそのままの場合は aがつき、切ったもの、材料・素材となったものにはaがつかないことがわかります。



 2)レモンの話 
 
 「一切れのレモン」は、a slice of lemon といいます。lemonにaがついていないのは、lemonを「素材」として考えているからです。a piece of cake(一切れのケーキ)、a dish of pudding
(一皿のプリン)等も同様に考えられますし、「一種の家」が、a kind [sort, type] of house であって、a kind of a house とならないのも同じ理由からです。

1) A lemon is an acid fruit.

2) Would you like a slice of lemon in your tea?

3) We've just had a new carpet fitted in our bedroom.

4) She cut up some bits of carpet for the children's playhouse.

訳:
1)「レモンは酸っぱい果物だ」
2)「紅茶にレモンを一切れいかがですか」
3)「私達は寝室に新しいカーペットを敷いたばかりだ」
4)「彼女は子供のおもちゃの家用に古いカーペットを数切れ切った」

1)のレモンが、レモン1個であるのに対し、2)のレモンは、素材としてのレモンですからaが付きません。3)は、「一枚の製品としてのカーペット」で、きちんとした形がありますから、a carpet ですが、4)のカーペットは、some bits(数切れの切れ端)の材料としてのcarpetなのでaはつきません。


5)He is not the kind of person to complain.

6) This is a new kind of melon.

7) A bungalow is a type of house.

8) What sort of flower do you like best?

訳:
5)「彼は不平を言うような人ではない」
6)「これは新種のメロンです」
7)「バンガローは一種の家である」
8)「どんな種類の花がいちばん好きですか」

5)〜8)は、kind, type, sort の用例です。



 3)家具の話 

 英語のfurniture(家具)には、aがつきません。不加算名詞です。日本人にとって「家具」とは、机やベッドなどの1つ1つのものを指しますが、英語のfurnitureは、机やベッド、本棚などの「集合体」を指すことばなのです。ですから、Aさんの部屋のfurnitureと、Bさんの部屋のfurnitureは、違っていてあたりまえですね。

 Aさんの部屋のfurniture :ベッド、机、本棚、ドレッサー...
 Bさんの部屋のfurniture :机、たんす、鏡、ソファー...

こう考えると、furnitureには決まった形がないことがわかります。人によって違うものから構成されているからです。決まった形がないものにaをつけることはできません。

「ジーニアス英和辞典」のfurnitureの項に、furnitureを構成するものの一覧が載せてありますので、引用します。日本語の「家具」よりも範囲が広いことがわかります。

 bed, bookcase, buffet, bureau, cabinet, carpet, chair, chest, chiffonier, clock, (clothes), dryer, commode, couch, cupboard, davenport, dishwasher, drapes, dresser, footstool, highboy, mirror, picture, press, refrigerator, rug, secretary, sideboard, sofa, stove, table, tapestry, vanity, washing machine

さて、このfurnitureの原理をよく理解すれば、baggage [luggage](荷物)や、machinery(機械類)にaが付かない理由もわかります。baggage[luggage]は、suitcase, trunk, bagなどから構成されますが、人によってその構成に違いがあります。また、工場には多くの機械(machine)がありますが、それ全体を指す言葉がmachineryです。工場によって機械の構成には違いがありますね。

次は「お金」の例です。
1) I had some money.
2) I had some cash.
3) I had some notes.
4) I had some coins.

money(お金),cash(現金)は、furniture同様、お金全体を指す語なのです。Aさんの財布にはお札が5枚に硬貨が10枚、Bさんの財布にはお札が10枚に硬貨が15枚...というように、「お金」の構成は人によって様々ですね。一方、note, bill(お札)やcoin(硬貨)は構成物であり、数えられるのです。

最後に「この道路には交通量が多い」の英訳をやってみましょう。

5) There are a lot of traffics on this road. (×)
6) There is a lot of traffic on this road. (○)

5)はtrafficを複数形にしていますが、これはダメです。traffic(交通)は、全体を指す言葉であり、不加算名詞なのです。車、バス、トラック、バイクなど、様々なものから構成されていますよね。


今回勉強したfurnitureの原理で理解できる語を、下にまとめてみました。こういう分類は、日本語の発想ではなかなか思い浮かばないものですね。

        全体を指すことば     構成物を指すことば

家具    furniture      bed, bookcase など
荷物   baggage, luggage     suitcase, trunk など
機械   machinery            machineなど
お金   money, cash          note, bill, coinなど
交通   traffic              car, vechicle など
詩    poetry               poem
文房具    stationary           pen, paperなど
郵便物  mail, post           letter, cardなど
読み物  reading              book, newspaperなど


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 4)言語の話 

 前回、furnitureは「全体を指す言葉」で不加算名詞、bedやbookcaseは「構成物を指す言葉」で加算名詞という話をしました。この考え方をさらに応用してみましょう。

1) Language is a means of communication.

2) Bob speaks five languages.

3) You should learn a foreign language.

訳.
1)「言語はコミュニケーションの手段である」
2)「ボブは5か国語を話す」
3)「外国語を勉強したほうがいいですよ」

言語にはたくさんの種類があります。日本語、ドイツ語、フランス語、イタリア語...こう考えると、languageは加算名詞です。一方、これらの各言語の集合体としての「言語」、もっとわかりやすく言えば、各言語に共通する働き、機能というものを考えれば、不加算名詞になります。先ほどの例でいえば、ベッドや机にあたるのが、各国の言語で、furnitureにあたるのが、集合体としての言語です。「言語」の場合、「全体を指すことば」も「構成物を指すことば」も同じlanguageという語を使うわけですね。

4) You have a hair on your collar. I'll take it off.

5) Judy has beautiful blonde hair.

訳.
4)「えりに髪の毛が1本ついているよ。私が取ってあげます」
5)「ジュディは、美しいブロンドの髪をしている」

髪の毛1本、1本は数えられますが、その集合体、すなわち頭に生えている髪
の毛全体は、数えられないわけです。

6) There is no absolute standard for beauty.

7) She was known as a great beauty in her time.

訳.
6)「美には絶対的な基準はない」
7)「彼女は若いころ、たいへんな美人として知られていた」

世の中には美しい人がたくさんいます。今、美人を100人集め、彼女たちに共通する性質を言うとするなら、それこそ、まさしく「美」でしょう。「美」とは、美人に共通するものを言い表したものなのです。そこで、美人は加算名詞ですが、「美」は不加算名詞になります。



 5)ガラスの話 

 
 glassには 1)「ガラス」2)「グラス」の意味があります。「ガラス」は素材ですからaはつきませんが、(レモンの話を参照)ガラスから作られた製品である「グラス(コップ)」は決まった形がありますからaがつけられますね。

1) He handed me a glass.

2) This bowl is made of glass.

訳.
1)「彼は私にグラスを手渡した」
2)「このボールはガラス製だ」

「素材は不加算、製品は加算」というのはわかりやすい考え方です。類例をあげてみましょう。

3)The body is made up primarily of bone, muscle, and fat.

4) Bill fractured a thigh bone.

5) Aspirin is a mild analegesic.

6) Do you want to take an aspirin for your headache?

7) Black coffee leaves a bitter taste in the mouth.

8) Can I get you a coffee?

9) Diamond is the hardest material known.

10) Her ring was set with a large diamond.

11) My jacket is lined with fur.

12) I wear a fur in the winter because it's very warm.

訳:
3)「身体は主として、骨組織、筋肉、脂肪からなる」
4)「ビルは大腿骨を骨折した」
5)「アスピリンは穏やかな鎮痛剤だ」
6)「頭が痛いならアスピリンを1錠飲みますか」
7)「ブラックコーヒーを飲むと口に苦味が残る」
8)「コーヒーを1杯いれましょうか」
9)「ダイヤモンドは知られている中で一番硬い物質だ」
10)「彼女の指輪には大きなダイヤがはめこまれていた」
11)「私のジャケットには毛皮の裏地がついている」
12)「とても暖かいので、冬には毛皮の服を着る」

 

 6)野球の話 


 「野球をしよう」は、Let's play baseball. で、baseballにはaがつきません。なぜでしょう?それは、試合の進み方が試合ごとに異なるからです。つまり、野球の試合には一定の形はないと考えるので、aがつかないのです。
 
1) I watched football on TV.

2) I watched a football game on TV.

2)でどうしてaがあるのかといえば、もちろん、gameについている aですね。「試合」は数えられますから。

3) They are playing catch in the playground.

4) Jim likes to play pool once a week.

訳:
1)2)「私はテレビでフットボール(の試合)を見た」
3)「彼らは運動場でキャッチボールをしている」
4)「ジムは週に一度玉突きをするのが好きだ」

また、学問名もaをつけません。学問は、無限に深化し一定の形がないものだからです。

5) Biology and botany are life sciences.

6) I studied European history at college.

7) Meg is studying statistics at university.

訳:
5)「生物学と植物学は生命科学だ」
6)「大学でヨーロッパの歴史を専攻した」
7)「メグは大学で統計学を専攻している」


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 7)忠告の話 
 
 前回勉強した「一定の形を持たない」ものは aがつかないという説明でよく理解できるもので、日本人が間違いやすいものには、advice, information, news,evidence, progress, weatherなどがあります。

1) Let me give you a piece of advice.  (○)

英語のadvice(忠告)はその場限りのものでなく、将来にもわたって有効であるべきものなのです。つまり、adviceには終わりがなく、一定の形を持たないことになりますから、aをつけることはできません。an advice や many advices は間違いです。「1つの忠告」と言う場合は、a piece of advice などの言い方をします。1)を、Let me give you an advice.(×)と言うのは間違いです。

adviceと同様に、progress(進歩)も、将来にわたってどんどん進歩していくことが想定されるので、aをつけることができません。

2) They say they are making steady progress towards a peace settlement.
   
information(情報)やnews(知らせ)は、同一の内容を様々な表現で伝えることが可能で、決まった表現形式はないと考えるのです。

3) This book contains information about a wide variety of subjects.

4) We are delighted at the news that our daughter is expecting a baby.

evidence(証拠、証明)は、ある主張が真実かどうかを示すが完全には証明できない事実や情報のことです。完全に証明できるわけではないので、一定の形を持たないと考えられるので、aがつけられません。

5) Evidence suggests that these oils can help prevent heart disease.

weather(天気)は、範囲を決めることができないものです。今、雨が降っている地域があるとして、それを rainy weather と言う場合、どこまでがrainy weatherなのか決めることはできないですね。

6) We had ideal weather for a walk.

訳:
1)「忠告を一つさせてください」
2)「彼らは和平調停に向けて着実に前進していると述べている」
3)「この本は、幅広いテーマについての情報を含んでいる」
4)「娘がおめでただという知らせに喜んでいます」
5)「これらの油が心臓病の予防に役立つことは、証拠が示している」
6)「散歩にはもってこいの天気だった」


 8)市長の話 


 次の例文を見てください。「彼らは彼女を市長に選んだ」という意味ですが、mayor(市長)にはaがついていません。なぜでしょう?

1) They elected her mayor.

それは、この文におけるmayorは、「働き」を表しているからです。一人の人間を表しているのではなく、市長というものの働きを表しているのです。

2) Bill was appointed as chairman.

3) He returned to Searchlight as editor in 1983.

訳.
2)「ビルは議長に任命された」
3)「彼は1983年に編集者としてSearchlight誌に戻った」

ここで、疑問を感じた方がいるはずです。「役割だからaがつかないというのであれば、She is a mayor.(彼女は市長です)のmayorだってaはつかないはずではないか?」という疑問です。これは全くもって当然の疑問ですが、実は、be動詞(あるいはそれに準ずる動詞)の後に「職業」が来るときはaがつくのです。

この点については、ドイツ語やフランス語の文法の方がはるかに統一的です。英語の He is
a teacher. を、ドイツ語では、 Er ist Lehrer.  フランス語では、Il est professeur. といいますが、いずれも英語のaにあたる冠詞はつきません。


 9)バスの話 
 
 by + 名詞で「輸送手段」「移動手段」「通信手段」等を表す場合、名詞にaはつきません。そのものの「働き」を表しているからです。下の例文2),4),6)が「by+輸送手段」のパターンですね。aがつきません。

1) Jim isn't old enough to drive a car.

2) I always go to work by car.

3) A bus is coming.

4) I'll go by bus, not by taxi.

5) I've got a phone and a fax.

6) Reply by fax.

訳.
1) 私はいつも車で仕事に行く。
2) ジムは車を運転できる年齢に達していない。
3) バスが来るよ。
4) 私は、タクシーではなく、バスで行きます。
5) 私は電話機とファックスを入手した。
6) ファックスで返信せよ。

しかし、by以外の前置詞を使った場合には、aや所有格などが必要になります。8),10)でaが、12)でtheがついているのは、by以外の前置詞を使っているからですね。

7) Some of the beaches can only be reached by boat.

8) They escaped the island in a tiny boat.

9) Tokyo is eighteen miles from Yokohama, about thirty minutes by train.

10) I can't read on a train.

11) I spoke to Jim by telephone.

12) I spoke to Jim on the telephone.


byを使った場合でも、「輸送手段としての本来の働き」でない場合には、aが付きます。12)でbusにaがついているのは「人をひくこと」はバス本来の働きではないからです。

13) Let's go by long-distance bus next time.

14) Rick was run over by a bus when he was eleven.

訳.
7) そこの海岸の中には、船でしか行けないところがある。
8) 彼らは小さな船で島を脱出した。
9) 東京は横浜から18マイル、電車で約30分のところにある。
10) 私は電車の中では本が読めません。
11),12) 私はジムと電話で話した。
13) 今度は長距離バスで行きましょう。
14) リックは11歳のときにバスにひかれた。


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 10)ベッドの話 
 
 名詞が、その「働き」を示す場合にaがつかないのは、「乗物」等に限りません。次の例文の2),4),6),8)は、byの後の名詞がその「働き」を示しているために、aがついていませんね。

1) It's a machine for slicing bread.

2) The letters are sorted by machine.

3) Bill wrote a check for $50.

4) I'd like to pay by check.

5) Could you give me an example of a popular modern writer?

6) Keep in mind that they learn by example.

7) I found a spelling mistake.

8) Someone must have left the door open by mistake.

訳.
1) 手紙は機械で仕分けされる。
2) それはパンをスライスするための機械だ。
3) ビルは50ドルの小切手を切った。
4) 小切手で支払いたいのです。
5) 有名な現代作家を一人あげてください。
6) 彼らは実例によって学習するということを念頭に置いておきなさい。
7) 私はスペリングの間違いを見つけた。
8) 誰かが誤ってドアを開けたままにしておいたに違いない。


「機能」を表す名詞につく前置詞は、byに限りません。慣用的に覚えていくといいですね。go to bed「寝る」のbedにaが付かないのは、bedを家具としてみるのではなく、「眠りを提供する機能」としてみているからです。in pencilのpencilも「字を書く機能」を果たします。schoolも、建物としてではなく、「教育を授ける機能」に注目するとaがつきません。

9) My father bought me a bed for my room.

10) What time do you usually go to bed?

11) Could you lend me a pencil?

12) Don't write it in pencil.

13) There is a school at the foot of the mountain.

14) I go to school by bus.

訳.
9) 父が私の部屋に置くベッドを買ってくれた。
10) あなたはふつう何時に寝ますか?
11) 鉛筆をお借りできますか?
12) 鉛筆でそれを書いてはいけません。
13) 山のふもとに学校がある。
14) 私はバスで学校に通う。


 11)土地の話 
 
 名詞にaがつくのかどうかを判断する上で大切な観点の一つに「範囲が限定されているかどうか」があります。landを例に詳しく説明してみましょう。

1) Land is scarce in the metropolitan area.

2) Amphibians live both in water and on land.

3) My uncle was from a land across the sea.

<訳>
1) 首都圏では土地が不足している。
2) 両生類は水中にも陸上にも生息する。
3) おじは海の向こうの国の生まれだ。

参考書を見ると、aがつかないlandは「土地」で、aがついているlandは「国」と書いてありますが、どうしてそうなるのでしょう?その違いは「範囲が限定されているかどうか」によるのです。

皆さんは、land「土地」という言葉を聞いてどういうイメージを持つでしょうか?「あっ、私にとっての土地とは、3丁目の角にある、今度新しい家を建てる予定の土地だ!」などと、妙に具体的な土地を思い浮かべる人(笑)もいるかもしれませんが、土地というものは本来、「どこからどこまでが土地だ」などという範囲を考えたりしないものなのです。このように「範囲」が限定されないものは、それゆえ、決まった形を持たないといえます。すでに(3)「家具の話」や(5)「ガラスの話」で学んだように、決まった形を持たないものにはaをつけることはできません。したがって、「土地」はaがつかないといえます。1)や2)の例文がそうですね。

では、3)のlandにはどうしてaがついているのでしょうか?これは、「人為的に国境線で区切られた土地(=国)」を指しているからです。

では、範囲が限定しているかどうかで、aのあるなしが決まってくる例をあげてみますので、皆さんも一緒に考えてみてください。

4) This book covers a new field.

5) Ken hit a long ball to right field.

6) Much of Scandinavia is covered in dense forest.

7) Lucy drove through a pine forest on a deserted rural road.

8) This area used to be meadow but it was ploughed up during the war.

9) At noon, the villagers gather at a meadow.

4)の「新しい分野」とは学問等の分野でしょうか。他の分野とははっきり区別できるものですね。一方、野球の「右翼側」というのは、「ここからは右翼です」とグラウンドに線が引いてあるわけではないので、右翼の範囲は、実ははっきりしないのです。そのため、aがついていません。

次に6)のforestと7)のforestの違いを考えて見ましょう。「見渡す限りの森」という言い方がありますが、見渡す限りの森を目の前にしたとき、私たちは、「その森の範囲はここまでだ」などと考えないものです。6)の森は、まさにそうで、範囲を考えないために aがつかないのです。一方、7)の森は、車で15分かけて通過したとして、森に入るときには「今から森に入るぞ」と意識し、森から出るときは「森を出たぞ」と意識するでしょう。つまり森の範囲を意識することになりますから、aが必要です。

8)は、この地域が牧草地だったと述べていますが、その牧草地がどれくらいの広がりを持つものであったかには無関心です。一方、9)は、広場のようなところを想定しています。

<訳>
4) この本は新しい分野を扱っている。
5) ケンは右翼側に長打を放った。
6) スカンジナビア(半島)の多くは深い森で覆われている。
7) ルーシーは、松林を通るさびれた田舎道を車で走った。
8)この一帯は牧草地だったが、戦争中に耕作された。
9)正午に村人たちは牧草地に集まる。


 12)一部の話 

 私は以前、「〜の一部」というときに、a part of〜と言っていました。「日本語で「一部」というものですから、ついその「一」という感覚でaをつけていたのです。しかし、ある時辞書を見て、part of〜 がふつうの言い方であることがわかりました。例えば、「彼女の話の一部」は、part of her storyと言います。このように日本語からの類推で英語を考えることは絶対にやめなければなりません。

1) Part of her story is interesting.

では、どうしてpartにaがつかないのでしょうか?それは、ただ「一部」と言われても、どれくらいの範囲を占めるのか全くわからないからです。「一部」と言われただけでは、その範囲を限定できません。ゆえにaが付かないのです。では、ある程度範囲を決められれば、aがつくのでしょうか?これは、はい、付くのです。partに large(大きな)やsmall(小さな)などがつくと、だいたいどれくらいの部分かがわかりますのでaが付きます。

2) A large part of the budget will be spent on advertising.

partを使った例文をさらに見ましょう。

3) He became part of our family.

4) His success was due in part to luck.

5) They took part in the protest.

3)は1)と同じ考え方でいいですね。4)のin part は「ある程度、いくぶん」の意味で使われます。5)は「〜に参加する」=take part in〜で熟語ですが、「一部分を取る」と発想すればよいですね。

<訳>
1) 彼女の話は一部分面白い。
2) 予算の大部分は広告に使われるだろう。
3) 彼はわが家族の一員になった。
4) 彼の成功はいくぶん幸運による。
5) 彼らはその抗議運動に参加した。

landやpartでよくわかったように、「範囲が限定されているかどうか」は、たいへん重要な観点です。他の単語で、類例を見ましょう。

6) James took the books off the table to make room for the television.

7) I'd like a room with a shower, please.

8) The building cast a long shadow on the field.

9) This corner of the room is always in shadow.

10) When he reached shore, Jim felt almost euphoric.

11) We are on a shore of white sand too hot to stand still for a moment.

6)のroomの意味は「空間」です。この空間を、適当な範囲に区切って作ったものが7)の「部屋」なのです。

8)のshadowは、長方形なら長方形のはっきりとした形を持った影ですが、9)は、ただ漠然と暗くなっていることを表しているだけです。

10)は岸の範囲には関知していないのです。一方、11)は修飾語句がつくことによってどんな岸なのかが限定されています。

<訳>
6) ジェームズはテレビを置くスペースを作るために机から本を取りのけた。
7) シャワー付きの部屋をお願いします。
8) その建物が野原に長い影を投げかけていた。
9) 部屋のこの隅はいつも陰(暗がり)になっている。
10) 岸に着いたとき、ジムは幸福感のようなものを感じた。
11) 我々は熱くていっときもじっと立っていられない白い砂の岸辺にいた。


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 13)距離の話 
 
 「範囲が限定されているか」どうかで、aのあるなしが決まってくる例をさらに追加しましょう。

1) I couldn't find a place to park.
2) The next meeting will take place on Thursday.
3) Everything was in place.
4) This vehicle has been parked on private property.
5) I have a small property in Milton Keynes.

1)は、自分の車を停められる場所を、つまり駐車場のような場所を想定していますので範囲がありますね。それでaがついています。2)のtake placeは「起こる、行なわれる」の意味の熟語ですが、文字通りの意味は「場所を占める」です。今まで存在しなかったものが、この世の中に「場所を占める」ようになるわけですが、どこからどこまでを占めるかはさっぱりわかりません。3)のbe in placeは「本来あるべき場所にある」という意味です。これは、あるべき場所にあるかどうかのみに関心があり、そのあるべき場所の広さ・範囲などには無関心なので、aはつきません。

4)のpropertyは、私有地の広さには関心がなく、公有地か私有地のどちらかといえば私有地だといっているわけです。一方、5)の話者の頭の中には、自分の家屋敷が思い浮かんでいます。

<訳>
1) 駐車する場所を見つけられなかった。
2) 次回の会議は木曜日に開催される。
3) 全てのものが整頓されていた。万事好都合であった。
4) この車は私有地に停められている。
5) 私はミルトンキーズに少しばかり土地家屋を持っている。


6) Distance is no problem with modern telecommunications.
7) David lives at a distance of three miles.
8) There is a distance now between those two friends.
9) The police are out in force, keeping people a safe distance from
  the site.
10) Does she live within walking distance of her parents?
11) The holiday resort is within easy distance of the capital.

6)と7)の違いは何でしょう? 6)のdistanceは、具体的な距離を示しているわけではないのでaはつきませんが、7)は、「3マイル」という距離がはっきり示されています。8)は、漠然とした距離ではなく、ある特定の友人間の距離を示していますから、aがついています。9)は、例えば事故現場からこれくらい離れていれば安全だという距離を想定していますが、その距離は、ある程度の範囲におさまるはずです。危険な事故が起こったからといって、そこから50キロも100キロも離れなければならないということはないでしょう。このように範囲が想定される場合はaがつきます。一方、10)「歩いていける距離に」、11)「簡単に行ける距離に」は、具体的にどれくらいの距離かを想定しずらい
ので、aがつきません。

<訳>
6) 遠距離通信にとって距離は問題ではない。
7) ディビッドは3マイル離れたところに住んでいる。
8) 現在二人の友人の間には隔たりがある。
9) 警察が出動し、人々を現場から安全な距離に隔離する。
10) 彼女は両親のもとから歩いて行ける距離内に住んでいますか。
11) その行楽地は首都から容易に行けるところにある。 

 

 14)年齢の話 

 
 距離同様、時間を表す名詞も、「範囲が限定されているか」どうかで、aのあるなしが決まります。

1) That's why we group people by age.
2) The early teens are often a difficult age.
3) His son died at an early age.

1)は、特に何歳とか、何歳から何歳までという限定はありませんが、2)は、10代前半の難しい時期のことを指しています。3)は、死んだ年齢を指しています。


4) Many people wonder about eternity.
5) The wait seems like an eternity.

4)のeternityは、文字通りの「永遠」で、無限の時間のことです。一方、5)のeternityは、10分とか20分といった待ち時間を「永遠」に例えているわけですから、有限の時間を表していることになります。

6) Learning a language isn't easy -- it takes time.
7) They stopped for a short time to rest the horses.
8) There comes a time when sons test their fathers.

6)の it takes time は、ただ「時間がかかる」と言っているだけでどれくらいの長さか、また、いつのことかは述べられていません。これに対して、7)ではshortによって時間が「短い」ことが示されており、8)ではwhen以下によって、どのような時なのかが示されています。

<訳>
1) こういう理由で我々は人々を年齢ごとに分けるのだ。
2) 10代前半はしばしば難しい年頃だ。
3) 彼の息子は若くして死んだ。
4) 多くの人は永遠とは何かと思う。
5) 待ち時間はまるで永遠のようだ。
6) 言語を学ぶのは容易ではない。それには時間がかかる。
7) 彼らはしばらく止まって馬を休ませた。
8) 息子が父親を試すときが来る。


 15)温度の話 


距離、年齢の話でおわかりのように、修飾語句によって名詞の指示範囲がはっきりすると、aがつくようになります。

1) Temperature varies in relation to pressure.
2) The thermometer recorded a temperature of 40℃.

単に「温度」という場合はaがつきませんが、「40度という温度」になるとaがつきます。下に示したように、40度とは、無数にある温度の一つになるからです。

・・・・37 38 39 40 41 42 43・・・・・

3) There is no more room in the bottle; it is filled to capacity.
4) My computer has a capacity of 40 gigabytes.
5) Rainfall is about average for the time of year.
6) Those 150 days deliver an annual rainfall of more than 78 inches.
7) Shares can go down as well as go up in value.
8) John's watch has a value of $75.
9) The shop said they would replace the television as it was still under guarantee.
10) The video recorder comes with a two-year guarantee.

3)〜10)を読み、具体的な数字がつくことでaがつくようになる様子を理解してください。

<訳>
1)温度は気圧との関連で変化する。
2)温度計は摂氏40度という温度を記録した。
3)瓶にはもう余裕がない。容量限度までいっぱいだ。
4)私のコンピュータの容量は40ギガバイトだ。
5)降雨量はこの時期としてはほぼ平均的だ。
6)その150日が78センチ以上の年間降水量をもたらすのだ。
7)株は価値が上がることも下がることもある。
8)ジョンの時計は75ドルの価値がある。
9)まだ保証中なのでテレビを取り替えるとその店は言った。
10)ビデオレコーダーは2年間の保証付きだ。

 

 


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