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 成績の伸ばし方


予備校や塾に通ったり、個人指導や家庭教師をつけても、成績が上がらないことがよくあります。このコーナーでは、その原因と考えられるものを列挙しますので、心当たりのある人は自身の行動を改めてみてください。

人生において自分の実力を伸ばし誤った道に進まないための方法は、2つあります。一つは「優れた人の真似をすること」、もう一つは「愚かな人の真似をしないこと」です。

一般に、予備校や塾では、「先輩はこうやって合格した!」のような話しかせず、落ちた人の失敗の原因を言うことはしません。マイナス要因について触れることは、営業上の問題があるからです。、「こうすれば成績が伸びるよ!」という話をすると生徒は喜びますが、「成績が伸びない理由」「受験に失敗した理由」を指摘すると、生徒は嫌がります。予備校や塾の第一の目的は、生徒をやめさせないことですから、生徒が嫌がる話はしないものです。

しかし、生徒の側に立ってみると、塾や予備校から欠点を指摘されないまま放置されるというのは、病院に行って検査して悪いところが見つかったのに教えてもらえないのと同じで、本人のためになりません。致命的な欠陥はできるだけ早く直さない限り、成績の向上はあり得ません。若いうちはいくらでも人生の修正が効きますから、「オレが今まで築いたものが無駄になる」などといったガンコさは捨てて、気軽に変身しましょう。

本コーナーは、大学受験生を対象に書いていますが、「大学に入ったものの無気力な大学生」「社会には出たものの、先が見えずにさまよっている二十代の人」にも、参考になるところがあるかと思います。


<目次>

精神力が弱い
頭が悪い
妙なプライドがある
英語学習者へのアドバイス

 [8.18.2008更新] 



  精神力が弱い


能力はそこそこあるのに、受験勉強の途中で挫折する人がけっこういます。精神力が弱いため、ちょっとしたことでやる気をなくしてしまうのです。挫折の度に、「今度こそしっかりやるぞ」と思ってはみたものの、2〜3週間しか気力が続かず、再び挫折です。夏以降これを繰り返しているうちに冬になり、当然のごとく受験に失敗します。

では、精神力が弱い人に共通することは何でしょう?それは「これまで親に甘やかされて育った」「自分で決めた苦しい課題を自分で乗り越えた経験がない」ということです。

あなたと親の関係を冷静に振り返ってみてください。親は口ではうるさく言いながらも、あなたがやるべきことを親が代わりにやってきませんでしたか?これはあなたを甘やかしている証拠です。「親への甘え・依存心」はきっぱり捨てましょう。学費の負担を親に強いるのはやむをえない(本当は、これも自分でバイトして出すのが一番いいのですが)としても、精神的には親から完全に自立し、自分の進路は自分で100%決めるのです。

人間は、「苦しいときに誰かが助けてくれる」と思っている間は、精神力がひ弱です。「誰も助けてくれる人はいないから、自分でやるしかない」と考えましょう。甘やかしたがる親が、助けの手を差し伸べてきても、拒絶しましょう。

高校時代に、スポーツの部活動で、自分に課した猛練習の結果、優れた結果を残した人は、その過程で強い精神力を身につけていますから、受験勉強に入ってからも強いのです。

[2.27.2008更新] 


  頭が悪い


生徒に「頭が悪い」と言うのは、近年、禁句になっているようです。その理由は、「頭が悪いと言われたらガックリして勉強の意欲を失うから」らしいのですが、これが生徒が「無知の知」を自覚するのを妨げ、生徒の成長を止めているように思われます。例えば、暴飲暴食が原因で糖尿病になった人に、医者が「ちょっと疲れているだけですよ。あなたの体はどこも悪くないから、今まで通りの生活をしていいですよ」と言ったら、これは医者としての倫理に反する行為でしょう。頭が悪いのが原因で成績が伸びない人に、「頭が悪いとかそんなことじゃなくて、もっとやる気を出せばいいですよ」と言うのは、本当の原因を教えないという点で、教師としての倫理に反する行為なのです。では、「頭が悪い」とはどういうことなのか、実例を交えながらお話しましょう。

1)左に書いてあるものを右にきちんと写すことができない人

中学生に国語を教えるとき、最初にやるといいのは、200字程度の文章を渡し、それを原稿用紙にそのまま写す作業です。なんて簡単な!と思われるかもしれませんが、きちんと写せる生徒は上位クラスで8割、下位クラスで5割程度でしょう。残りは、誤字脱字、句読点の誤りなどがあるものです。左に書いているものを右にきちんと写すことができないわけです。

写す作業すらきちんとできない人は、授業で黒板の文字をノートに写すときに間違いますし、ノートの字を自分の脳に写すときにも間違います。こんな人が成績を上げることはできないでしょう。いつも間違ってばかりなのですから。

こうした写す能力は、小学生のときに完全に修得されるはずですが、最近は高校を出た人でもだめな人が多いのです。予備校の教務室にいますと、「せんせい、この問題を復習したら、計算が全然合わないんですけど」「これは、きみのノートが間違ってるよ。ここはマイナスではなくてプラスだろ?」とか、「せんせい、せんせいの授業のノートをとったのですが、自信がないので、ちゃんと書いているかどうか見てください」といった、実に程度の低い質問を耳にします。私も先月、授業で company という語の説明をしたのですが、ある生徒のノートを見たら companion と書いてあり、びっくりしました。

対処法ですが、意識して写す練習を増やすのがよいでしょう。数学の重要な証明や、英語の長文などを、「今から一つも間違えずに写すぞ!」と唱えて集中力を増した後で、一気に写しましょう。そして、写し終わったら原本と入念に照らし合わせ、一つでも間違いがあったら、間違いの数だけ自分で頭を叩きましょう。これを、写し間違いが絶対なくなったと言えるようになるまで繰り返しましょう。


2)言語能力が低い人(その1)

教科書や参考書を読んだり、授業を聞いたりする行為は、全て「言語」を介して行われます。日本人の場合は、日本語を通じて理解するわけです。ですから、日本語の能力が著しく低い人は、成績を伸ばすことができません。

言語能力の良し悪しは、少し話をしてみるとすぐにわかります。例えば、中1の人に「この前の日曜日はどんなことをしましたか?」と質問します。言語能力が優れた人は、「家族と一緒に○○水族館に行って、アシカショーを見て、おもしろかったよ」と、ある程度の長さを持つ文で答えます。一方、言語能力が劣る人は、「水族館行った」とか「アシカ見た」程度の答えしか帰ってきません。また、言語能力に劣る人は、こちらが少し早口でしゃべりますと、もうついてこれません。一度に処理できる言語量に大きな違いがあるのです。

予備校や塾の仕事をしていて思うのは、同じ教材、同じ授業を受けていながら、個々の生徒の間で、どうしてこれほどまでに成績の伸びが違うのだろう?ということですが、この大きな原因こそ、言語能力の違いです。同じ授業を受けていても、言語能力が劣る人はほんの少ししか吸収できません。これが3か月、半年と経つとものすごい差になるわけです。

対処法ですが、日本語をたくさん読まなければなりません。高校入試用の国語の問題集を買い、論説文、説明文のところだけよく読んで問題も解くといいでしょう。さらに、問題文を4分の1くらいの分量に要約し、国語の得意な大人に見てもらうといいでしょう。「要約」は一番力がつく方法です。また、しゃべるときは、できるだけ早口で多くのことをしゃべるように心がけましょう。


3)言語能力が低い人(その2)

日本語の基本である「て・に・を・は」がわかっていないために英語の基礎がわからない人が近年増えています。実例をあげましょう。This picture reminds me of my happy days. という英文の意味を考えます。remind A of B で「AにBを思い出させる」という意味なので、この英文は、「この写真は私に楽しい日々を思い出させる」つまり、「この写真を見ると私は楽しい日々を思い出す」という意味なのです。ポイントは、「この写真思い出させる」というところですね。

しかし、ふだんから「て・に・を・は」がわかっていない人は、上の英文を見て「私は楽しい日々のこの写真を思い出す」と訳します。これは0点ですね。こういう人には、□ remind △ of ○ 「□は△に○を思い出させる」と書かせて「は」「に」「を」に下線を引かせたうえで、□に入るのは?△に入るのは?○に入るのは? と確認しないといけません。英語がさっぱりわからない人は、自分が「て・に・を・は」をきちんと使えているかどうか注意しましょう。

また、代入能力が極めて低い人もいます。これも実例をあげましょう。I know that he is a doctor. という中2英語で扱う文を勉強する際、I know □. (私は□を知っている) の□に that he is a doctor (彼が医者であること)を代入すると、I know that he is a doctor. (私は彼が医者であることを知っている)になることが、どうしてもわからない人がいるのです。これは中学で数学の時間によく使う「代入」の考え方が欠落しているためです。このタイプの人は、名詞節や形容詞節を含む英文を読んでもなかなか理解できません。これに対処するには、中学の方程式の問題を解くことが効果的でしょう。

以上1)〜3)の能力は、小学校〜中学校で身につけておくべきです。こうした能力のない人間を生み出している現在の国語教育には欠陥があるといえましょう。

[2.27.2008更新] 



  妙なプライドがある


最近は、公立の学校は信用が置けないというので、中高一貫の私立の進学校に通わせる親が増えましたが、この手の学校に入学させたからといって安心してはいけません。どんな学校でも2〜3割の落ちこぼれが出るものです。中高一貫の場合、高校入試がないために、長期の中だるみに陥る危険性が高いのです。「東大に○○名合格者を出している」といった進学実績にだけ目をとらわれることのないようにしなければなりません。「一握りの秀才と多くの落ちこぼれ」こそがその学校の実態かもしれません。

本来、プライドというのは、優秀な人だけが持つべきものです。「出来が悪いくせして妙なプライドだけは一人前」というのは始末におえません。

いくつか実例をあげましょう。有名進学高出身のある男は、中学英語が全然できません。簡単な受動態も作れませんし、過去形の文を作ったり、疑問文を作ったりするのもよく間違います。私はこうした生徒に対しては、中学レベルから丁寧に教え、そうした弱点をなくすように指導するのですが、この男は聞く耳を持ちません。なぜなら、心の底で「○○館を出たこのオレ様に、中学の勉強をしろなんて、お前のような公立高出に言われたくないわ!」と思っているからです。私はこういう人には、「仏の顔も三度」の諺どおり、3回までは丁寧な指導をしますが、4回目からは、本人の好きなようにさせます。教室にいるのは、この男だけではありません。この男に1時間指導する暇があったら、他の生徒さんを10分ずつ6人指導したほうが、公の利益になります。高校を出てから中学1年の勉強をするのは、なんら恥ずかしいことではありません。しかし、その欠点に目をつぶって放置するのは、愚かな行為です。そして、腐れプライドのせいで中1の勉強ができないのであれば、そんなプライドはドブに捨てるべきでしょう。

東大を出てから塾講師となり、地元の田舎に塾を開いた男がおります。この男、講師力の向上のためにと称して、各教科ごとに、中学入試や高校入試問題を解き、その点数を壁に張り出して喜んでいました。自分が一番で、自分が気に入らない講師の点数が低かったからです。生徒を対象にして、授業アンケートを実施した際も、自分よりアンケートの評価が高い講師がいると、「アンケートはいいが、他にも問題がある」などと言って、素直に「よかったですね」の一言がいえません。自分は東大出だから、何でも優秀であるべきだと思っているのです。しかし、あくまでそれは、この男が入試を受けた18歳時点での能力に過ぎません。それから長い時がたち、この男の能力・人格は大きく劣化しているかもしれないのです。


私が深く尊敬する方に、将棋の第一人者、羽生善治先生がいます。羽生先生は、19歳頃、すでに将棋界で最強の力をお持ちでしたが、当時、ある新聞に次のような意味のことをお書きになりました。

「私はまだまだ弱い。これからもっと精進して将棋の発展に少しでも貢献したい」

これを読んで私は大いに感嘆しました。将棋で一番強い人がまだまだ自分には足りないものがあると言われるのです。だからといって羽生先生にプライドがないということではありません。これからの将棋界を引っ張っていくのは自分だという強い自負をお持ちのはずです。ただ、「オレは強いんだ!」などというくだらないセリフを言う必要が全くないのです。本当にすごく強いからです。

くだらないプライドを持つ暇があったら、大いに実力を向上させ、威張る必要がないくらい高い次元まで到達すればよいのです。中身のない人間のプライドは、負け犬の遠吠えと同じです。

過去の栄光にひたってしまう時期がきたら人間もうお終いです。

[2.27.2008更新] 




  英語学習者へのアドバイス


[1] 英語学習の目標

@どのような英文でも、辞書を少し使いさえすれば、自分の力だけで意味を100%理解できるようになること。
A基本的な英文を活用して、自分の考えを正確に伝える英文が書けるようになること。

 

[2] 自らに挫折を許すな

人が語学を習得できないのは、途中で学習をやめるからである。やる気が続かない人は、どうすれば学習を継続できるのかを工夫しなければならない。一番いい方法は、スタートダッシュをかけ、それを1年間、1回の例外も認めずに持続することだ。一度でも自分に甘えてしまうと、二度三度とそれを繰り返してしまうのが人間の弱さだ。

 

[3] 「作業時間」を減らし、「頭を使う時間」を増やす

勉強を始める前にあれこれ探し物をしたり、コピーすればいいものを書き写したり、やたら細かく切り貼りをしたり...こういった作業は、脳の性能をUPさせるのに役立たない無駄な時間である。「頭を使って考える」時間を1分でも多くとるように心がけよう。

 

[4] 「自分で学ぶこと」で力がつく

外国語ができる人に共通する点は、自学の精神である。彼らは、教師にあれこれ教えてもらったおかげで語学を身につけたのではない。(教師の力を借りながらも)自分で考え、自分で暗記をし、自分で練習をしたから外国語を身につけることができたのである。「教師」に依存してはいけない。教師とは、便利な「道具」の一つに過ぎない。教師を上手に利用しよう。

  

[5] 「計画」なきところに「達成」なし!

「いつまでに何をやる」という計画を立てずに仕事をしても単なる時間つぶしである。意味のある仕事をするには、具体的な計画を立てることが不可欠である。「達成感」は、計画を実行してはじめて味わえるものだ。各週に何をやるか、教材の章やページの数を書いた計画表を作ろう。

  

[6] 外国語を学ぶときに大切な態度

@わがままを一切言わず、文法や単語を全てそのまま受け入れることが大切である。読解では、自分の意見など一切考えず、筆者の考えを理解することに全力を尽くすことが大切である。

A 我々は「評論家」ではなく、「実務家」「実践家」にならなければいけない。

  

[7] どうすれば英文が読めるようになるのか

@ まず、簡単な例文をきちんと理解し、例文ごと覚える。

A 複雑な英文が出てきたときには、@で覚えた例文の中から、同じパターンのものを思い出し、同じように理解していく。

  

[8] 復習のやり方 

@ 本文を通して読み、「スラスラと意味が頭に浮かぶか」をチェックする。

A スラスラと意味が浮かばなかった箇所は、授業プリントやテキスト解説を再読し、ノートないしはカードに抜書きしてまとめる。

B 上記Aが終わったら、それらを繰り返し暗記する。

  

[9] 単語の覚え方

@ 読解プリントを「単語暗記プリント」に改造する。

A 単語集で単語を覚えるのもよいが、英文読解のテキストに出てきた単語を全て覚えていくことはさらに重要である。

[8.18.2008更新]