もとに戻る 主婦英語奮戦記 [3.3.2008更新] ある時、英語教師である私のもとに、一本の電話がかかってきた。 「そうですか。サイトはご覧になりましたか?」 「ええ、なかなかいいなと思いまして、それで実は、私に英語を教えて欲しいんです」 「なるほど...最初にうかがいますが、英語を学ぶ目的は何ですか?」 「将来、子供の手が離れたら、家で翻訳の仕事をやってみたいんです。それに、新婚旅行で行ったカナダにまた行きたいねえと主人とも話していますし」 「失礼ですが、今の英語力はどれくらいでしょう?」 「それが...ぜんぜん話せないんです。高校のとき、英語はチンプンカンプンでしたから...アハハハ...」 「全くの初心者ですね。ゼロからやっていくのはやりがいがあって楽しいですよ」 「はい、がんばります!」 「今後のがんばりにもよりますが、2年間の学習で、英字新聞の記事がふつうに読めるようにしましょう。その後は、翻訳学校の通信教育などで勉強したらいいと思います。」 「ありがとうございます。2年でそれくらいは上達できるんですね」 「一生懸命やれば、誰でも伸びますよ。ところで、1日にどれくらい勉強時間が取れそうですか?」 「そうですね〜、15分か20分くらいじゃないでしょうか」 「すいませんが、この話はやはりお受けできませんね」 「ええっ、そんな〜。英語は15分でも毎日やれば大丈夫って誰かが言ってましたよ」 「それは、趣味でなんとなくやる分にはいいですよ。でも、あなたは将来、翻訳の仕事をしたいとおっしゃってる。ふつうの英文をスラスラ読めることはもちろん、専門的なことについて詳しく調べたり、読みやすい日本語を書く練習もしていかなければならないのです。その勉強を1日15分で足りるとお思いですか?」 「.......」 「進歩を実感するには、毎日最低1時間はやらないとだめです。ちょっと難しいことを考えたりすると、30分、40分なんてたちまち過ぎてしまいますよね。どうですか、1日の中で1時間という時間が確保できそうですか?」 「そうですねえ...ちょっと難しいかもしれません。でも、やってみます」 「生活時間を見直して、1時間取れそうだったら、またお電話ください」 「はい、そうしてみます。今日はいろいろありがとうございました」 「もしもし、昨日お電話した者ですが...時間取れます、大丈夫です。だから英語教えてください」 「そうですか。いつ勉強することにしたのですか?」 「朝早く起きることにしたんです。うちの息子が最近どういうわけだか、朝5時に起きて宿題をやるようになったので、私も5時に起きてやろうと思うんです」 「感心な息子さんですね。朝は頭が冴えてますからはかどりますよ。では教材をメールで送りますから、それを印刷して使ってください。」 「はい。分量はどれくらいになりますか?」 「そうですね。400ページ近くありますよ」 「そんなにあるんですか!!」 「びっくりさせてすみません。(笑)400ページというのは1年分です。1日あたりにすると1ページちょっとですよ」 「そうですよね。がんばりますから、教材を送ってください」 〜数日後〜 「こんにちは。セルフ・トート(←教材名)、がんばってやってますよ。それ 以外に、家に英会話の本があったので、パラパラと見ていたのですが...」 「何か質問ですか、ミカさん?」 「ええ。英会話本に、I'll get my homework done by
5.(私は5時までに宿題を片付けるつもりです)という例文が載っていて、説明のところには、get + A +
done「Aを−してしまう」と書いてあるんですが、これって、やっぱりそのまま覚えなければなりませんか?...それから、別のページに、Jim has
got promoted. (ジムは昇進した)という文が載っているのですが、これは、gotのすぐ後に-edが来ていますね。get my
homework doneとは違うんですか?? 」 「もちろん、それらの英文は覚えた方がいいですが、他にも応用がきいたほうがいいですよね。getを使った例文をいくつかメールで送りますから、意味を考えてみてください」 「はい。明日の朝よく考えて、メールを返信しまーす」 <送られたメールの英文> 「せんせ、いちおう考えてみました。1)は、彼の言葉で私は怒った。 2)は、彼らは先月離婚した。 だと思うんですが、3)はよくわかりませんでした」 「1)と2)は正解ですよ。2)についてコメントすると、これはもともと be
divorcedという表現があって、beをgetにしたものです。例えば、I am tired. (私は疲れている)をもとにして、I got
tired. と言えば「私は疲れた」という意味になります。ところでミカさん、SVOC(第5文型)ってご存知ですか?」 「なんか、昔ならったような...(笑)」 「では、This song makes me sad.
(この歌は私を悲しくさせる)という文を見てください。この文は、SVOCで、meがO、sadがCです。では、この文で、悲しいのは誰ですか?」 「もちろん、「私」です。」 「そうですね。OとCの間には、「私が悲しい」という関係があるのです。」 「そういわれると、なんとなくわかります。」 「では、3)I'll get my car
washed.を見てください。my carがO、washedがCなのです。どういう関係があると言えますか?」 「車が洗われるという関係ですね。」 「その通りです! 車を洗うのは人ですから、車は(人によって)洗われるという関係なのです。」 「英語って、なんか面倒くさいですね。」 「いやいや、面倒ではありませんよ。ただ「する」と「される」の区別をしっかりつける必要があるということです。3)の訳はできますか?」 「「私は車を洗います」でいいですか?」 「いいですよ。それは自分で洗う場合ですね。人に洗ってもらう場合は、「車を洗ってもらうつもりだ」となります。」 「その違いは、どこでわかるのですか?」 「get + O + p.p.
は、@「自分で〜してしまう」と、A「(人に)〜してもらう」の訳があるのですが、p.p.を強く読むと@の意味、getを強く読むとAの意味になります。もちろん、文脈も大いに参考にしてください。」 「今の話を聞いてて、4)I have to get my
passport reissued.がわかりました。「私はパスポートを再発行してもらわなければならない」ですね。」 「正解です。パスポートは自分では発行できませんものね。5)Don't let it get you
down.はいかがですか?」 「えーーと、letは、このサイトの別のところでやりましたよね。let + O + 原形ですよね。「それをget
you downさせるな」ってことは...」 「このdownは、He is down about his
grades. (彼は成績のことで落ち込んでいる)のdownと同じですよ。」 「じゃあ、get you
downは「あなたを落ち込ませるな」ですね。わかりました!「それがあなたを落ち込ませるのを許すな」です!」 「ええ、正しい理解ですよ。ではもっとわかりやすい日本語にしましょう。これは人を励ますときの表現ですね。」 「そんなことで落ち込んだりしてはいけないよってことですか?」 「You got it! (正解です!) では 6) You're
going to get fired if you don't get your work
done. で仕上げましょう。前半の意味は?」 「「あなたは首になりますよ」ですか?」 「そうです。get firedで「クビにされる」ですね。get
divorcedと同じです。では後半は?」 「「もし、自分の仕事をやってしまわなかったら」ですか?」 「正解です。今日勉強した1)3)4)5)6)の英文を、get +
人 + angry 「人を怒らせる」、get + もの + p.p. 「ものを〜してもらう」、get + 仕事 + done
「仕事を終える」...などのように個別に暗記してもいいですが、これらはすべて get + O + C
であると理解すると頭にしっくり納まりますね。同じ文型なんですから。」 「わたし、英語って、文をぜーんぶ暗記するものだと思ってました」 「英語の勉強のほとんどは暗記です。ただ、文法に沿って覚えるのが速いと言っているのです。小学校で掛け算を覚えるときだって、ニニンガシ の後に、いきなり ハッパロクジュウシ をやったりしません。ニニンガシの後はニサンガロクです」 補足:今回勉強した get + O +
p.p.には、「Oを〜される」という被害を表す場合もあります。この場合は、p.p.に強勢があります。He got his foot caught
in the wire. (彼はワイヤーに足がからまった) 「実は...この英会話本、昔買ってやろうとして、すぐ挫折したんです。(笑)全然覚えられないから、わたし、記憶力が悪いのかと思ってました。でも、やみくもに丸暗記しようとしたのが悪かったのですね」 「文法の基礎ができてない人が、暗記しようとすると必ずそうなります。よほど忍耐力の強い人でないと挫折しますね」 「わたし、自分でよく納得しないと、なかなか覚えられないんですよ」 「世の中には、何でもすぐに丸暗記できる人もいますが、ミカさんのように、理解したうえでないと覚えられない人もいます。それぞれ自分に合った勉強をやればよいのです。何でも丸暗記できる人に、無理やり理論を教えようとすると反発されるし、理解して覚えるタイプの人に丸暗記を強制しても無意味です。」 「そうですね。なんか、それを聞いて安心しました。これから勉強がんばります!」 ● 英語学習の教訓
● 自分が「暗記型」か「理解型」かに合わせよう!
主婦のミカさんが、一念発起して英語を勉強することにしました。意欲はじゅうぶん、でも子供が二人いるし、パートの仕事も忙しくて、なかなかまとまった時間が取れません。それに、学校出てから15年...そんな主婦の英語学習奮戦記をお届けします。なお、いかにもありそうな話ですが、物語は全てフィクションです。
◆第1話◆
「もしもし、△△さんのお宅ですか? 英語初心者向けのサイトをやってらっしゃるって聞いて、お電話したんですが」
● 英語学習の教訓
● まずは毎日の学習時間を確保すべし!!
◆第2話◆
〜翌日の午後〜
1) His words got me
angry.
2) They got divorced last month.
3) I'll get my
car washed.
4) I have to get my passport reissued.
5)
Don't let it get you down.
6) You're going to get fired if you
don't get your work done.
〜翌日〜
● 英語学習の教訓
● 文法の基礎ができていると暗記が速い!!
| ◆第3話◆ |
〜1週間後〜 「こんにちは。実は昨日、通りで外国の人に話しかけられて困りました」 「何を聞かれたのか、わかりましたか?」 「それが速くてさっぱり...。コーヒーショップとかなんとか言ってるように聞こえたのですけど、でも、近くにあるかどうかもわからなかったので、I don't know. って言ったら、Sorry. と言って去っていきました。でも、後で冷静になって思い出したんですけど、少し先にあるビルの1階にコーヒーショップがあったんですよ。教えてあげられればよかったです...」 「日頃の勉強が生かせなくて残念でしたね。でも、コーヒーショップが聞き取れたのですから、40点くらいはあげられますよ。いきなり英語で話しかけられて緊張したのだと思いますが、まず冷静になることです。そして、相手のためになることを考えたらいいですね。ペンと紙があれば、地図を書いて渡すこともできますし。」 「たぶん、落ち着いていたら、ビルの1階のコーヒーショップのことをすぐ思い出したはずなんです。でも、あわてちゃって。(笑)」 「ここは日本で日本語で話すのが普通なのだから...と思って、いい意味で図々しく考えることですね。ちゃんとした英語で答えなきゃ...などと気を遣う必要はないんですから」 「そうですね。でも、相手の言うことがよくわからないので、恐怖になっちゃうんです。やっぱりリスニングが苦手なので、ベラベラベラ...と話されるとパニックになっちゃいます。」 「やはり、Could you speak more slowly? (もっとゆっくり話してくださいませんか)と言ったほうがいいですよ。聞き取れないのに、うなづくのはよくありませんから。それからリスニングの練習、これからやっていきましょう」 「リスニング...どうするんですか?」 「方法については、このホームページでも、「英語学習総合案内」で簡単に説明していますが、レベルに応じた英文を聞いて、書き取りをするのが最も基本的な練習です。これによって、自分が聞き取れない音がわかります」 「確かに、文章で見たら、な〜んだ!と思うのですが、音になるとさっぱりわからないところがありますね。どうしてなんでしょう?」 「突然ですが、私の言う日本語を聞き取ってください。」 「え? はい。」 「では、いきますよ... シャマシェー シャマシェー」 「??? Could you speak more slowly? (笑)」 「いらっしゃいませー」 「そっか、早口の店員さんだと、確かにシャマシェーって言う人いるなあ。」 「日本語をきちんとテキストで勉強してきた外国の人が、日本に来て、シャマシェー って言われても、何と言われたのかわからないと思います。」 「ええ。」 「だから、まず、<文字>と<音>は違うのだと割り切らないといけないんですね。文字では「いらっしゃいませ」 音は「シャマセェー」であると、覚えるのです。ところが、日本の英語教育では、まず文字から入る勉強が中心ですから、<文字 イコール 音> であるのだとと、どうしてもこだわってしまうのです。しかし、それではせっかく音声教材の書き取りをしても、テキストの文字を見た瞬間に、頭を文字の方に合わせようとしますので、リスニング練習の効果が薄くなってしまうのです。」 「なるほど! なんか、文字を見て安心するというか、文字を見たら、音のことなんかすっかり忘れていたような...(笑)」 「これからは音優先でいきましょう。そして、聞こえた音と、文字がかけ離れているように思えても、このつづりはこう読むのだと割り切って、一つ一つ覚えていきましょう。 「いらっしゃいませ」は、文字で読むと「いらっしゃいませ」だけど、音で聞くと「シャマシェー」だと覚えるのです。こういう音を100パターン以上自分で発見すると、音の聞こえ方が違ってきているはずです。」 |
| ◆第4話◆ |
〜1か月後〜
「おひさしぶりでーす。実は、わたし、TOEIC受けることにしました。本屋さんで、お金も納めてきました」
「それはいいですね。勉強の励みになりますよね」 「ええ。問題集も買って勉強してます。でも、わからない単語とか多すぎて、これじゃあいい点数取れないなあ...」 「でも、英語の勉強を始めてまだ1か月ちょっとなんですよ。そんなにあせる必要はありません。あせって飛ばすくらいなら、問題集の1問1問をじっくり勉強したほうがいいです」 「私って欲張りだから、すぐ点数が気になっちゃうんです(笑)」 「気持ちはわかりますが、まだ英語の勉強を始めて1か月ちょっとなんですから、いきなり高得点を目指しても...」 「ええ。でも学生時代にあんまり英語の勉強しなかったぶん、最近勉強するのが楽しいんです。あっ、それで、話していませんでしたが、うちの妹はけっこう英語が得意なんですが、私が英語やってると言うと、そんなの、外国人とじゃんじゃん話さなきゃだめよって言うんです」 「妹さんは、英語が話せるのですね」 「ええ。けっこうブロークンとか言ってますけど、通じるみたいです。昔、家族でアメリカに行ったときも妹がわが家の通訳でした。(笑)」 「頼もしいですね」 「でも、私は、こう見えても恥ずかしがり屋だし、初対面の人とはそんなに話せるほうではないので、話す練習とかは、もう少し勉強してからにしたいんです」 「なるほど。ミカさんの言う通りでいいと思いますよ。最近は、会話重視で、日本人は学校で英語やっても全然しゃべれないんだから、会話の練習をたくさんすべきだと言う人もいます。ぼくが思うには、会話好きな人はそうすればいいですが、それほど会話が好きじゃない人は、会話の練習はしなくていいと思いますよ」 「へえー、そうなんですか」 「ぼく個人で言えば、人と話すより本を読むほうがずっと好きです。会話は、自分より頭がいい人と話せば、自分も頭がよくなりますが、頭が悪い人と話しても得るところはないですもんね」 「わー、問題発言!(笑)そんなこと言っっちゃってもいいんですか?(笑)」 「アホな人と会話するくらいなら、すごく頭がいい人が書いた本を読んだほうがためになりますよね」 「じゃあ、わたしと電話でこうやって話しているのってどうなんですか?」 「とてもためになってます。だって、この会話をもとにホームページの原稿を書いていますから(笑)」 「ははは...」 「ちょっと脱線しましたが、英語を学ぶ目的は多くの人と会話することだけではありません。自分の目標をしっかり決めておけば、人からあれこれ言われても気にする必要はありませんね」 「前から思っていたんですが、先生は、人から何か言われても全然気にしない人ですねえ。変わってるって言われませんか?」 「人と違う意見を言うのは楽しいことですよ。周りの人はいろいろ言うでしょうが、自分の人生に責任を持てるのは自分しかいません。参考になる意見は吸収して、後は受け流しておけばいいんです」 「なるほど! では、私は第一の目的としてTOEIC800点を掲げます!点数が出るのが好きだし、やる気が出るんです」 「え!いきなり800点ですか! これはちょっと高いのでは...」 「わたし、あれこれ言われても気にしないことにしました!(爆笑) 問題集でわからないところをどんどん質問しますのでよろしくお願いします」 ● 英語学習の教訓 ● 英語学習の目的は人それぞれ。自分の目的を決めよう! |
| ◆第5話◆ |
〜3年後〜 「もしもし、△△さんのお宅ですか? あの〜、あっ、先生ですね!」 「ええ。ずっとごぶさたしております。その節はお世話になりました。」 「パッタリ質問がなくなったので、どうしたのかなと思ってましたよ。」 「すいません。先生のお話を聞いて、わたし、自分でやらなきゃという気持ちになったんです。それで、毎日1時間...30分の日もあったけど...がんばって勉強しました。それで、この間のTOEICで、805点をとったのです」 「それはすごい!おめでとうございます。ミカさんはずっと勉強を続けてこられたのですね。立派です。」 「ありがとうございます。すごくうれしいです。息子も今年から中学なので、英語はお母さんが教えてあげるよ!って言ったら、塾に行くからいい!と言われて...(笑)」 「男の子はお母さんと一緒にいるのを嫌がる年頃ですよ。」 「最近は、英語の小説も少しずつ読んでいます。海外のメル友もいますよ。ほんとに英語の勉強って、やる気があれば、どこでもできるものなんですね。」 「そうなんです。費用がかからず、どこでもできるのが語学学習のいいところです。」 「わたし、まだ勉強をやめるつもりは全然ないんです。前にお話した、翻訳学校の通信教育を始めたんです。これから何年後になるかわかりませんが、プロになりたいです。」 「どんな分野の翻訳がしたいですか?」 「まだわかりませんけど、医療や薬品関係がいいですね。これでも高校の途中までは理系だったんですよ。」 「それなら、医療分野に関する記事などをネットで集めてどんどん読むといいですね。つい最近も、歯周病菌と心筋梗塞の関係についてのテレビ番組がありましたが、それも去年、アメリカの医療誌に載ったものらしいです。」 「先生は、お元気でしたか?」 「ええ。歯医者の治療にも行きましたから、歯周ポケットも深くないですよ。」 「わたしも、歯医者さんに歯磨きの仕方がいいってほめられてます。(笑)すいません、変な話しちゃって。でも、先生に最初のレールをきちんと引いてもらったおかげで、今のわたしがあると思います。先生、本当にありがとうございました。」 「いえいえ、ミカさんには語学学習の素質がもともとあったのです。だから、自分で自分をほめてあげてください。そしてこれからもどんどん実力を伸ばしてください。」 |